ブロンカラーRFS2.2発信機のリリースによって、ブロンカラーのストロボ機材でも
高速シャッタースピードを使用した撮影でのシンクロ発光が可能になりました。

 

RFS2.2で対応している「HSモード」は、他社製のモノブロックストロボやスピードライトが使用している
ハイスピードシンクロ(HSS)」とは、発光の仕組みが違います。
その違いについて、ご説明いたします。

 

フォーカルプレーンシャッターとフラッシュの同調

一般的にフォーカルプレーンシャッターのカメラでの撮影の場合、シャッター速度がX接点、多くの場合1/200秒より遅いとき、フラッシュ光の同調が可能です。シャッターの先幕が開き、フラッシュ光が発光して、後幕が閉じます。シャッターの先幕と後幕の間隔は、センサー面よりも長くなります。

図:1/60秒程度のシャッターでの露光

 
図:通常のストロボ発光の際のタイミングと発光曲線(クリックで拡大)

 

① 先幕が開き始めます。(黄色)
② 先幕が開ききります。
③ シンクロ信号が飛び、フラッシュが発光します。(緑)
  このとき、センサー面は完全に露出しています。
④ 後幕が閉じ始めます。(赤)
⑤ 後幕が閉じきります。(青)
 

 

シャッター速度がX接点より速いとき(多くの場合1/250秒~1/8000秒)、先幕が開ききる前に後幕が閉じ始めるため、シャッターが閉じるまでの間に、センサー面が完全に露出することはありません。

図:1/250秒のシャッターでの露光

 
図:速いシャッター速度のストロボ発光の際のタイミングと発光曲線(クリックで拡大)
graph fastshutter

 

 

① 先幕が開き始めます。(黄色)
② 後幕が閉じ始めます。(赤)
③ 先幕が開ききり、シンクロ信号が飛び、フラッシュが発光します。(緑)
  このとき、センサー面は先幕と後幕の間のわずかな隙間だけ露出しています。
④ 後幕が閉じきります。(青)

 

最速のシャッター速度の場合、先幕と後幕はほぼ同時に動き出し、センサーには動くスリットの間から抜けてくる光しか露光しません。この時にフラッシュ光を使った撮影をした場合、シャッター幕が画像に写り込んでしまう「幕切れ」現象が起こります。
この写真の場合、定常光であるLEDの光はわずかに露光していますが、フラッシュ光はスリットの隙間から一瞬しか露光していないため、画像の一部しか写らなくなります。

 

高速シャッターシンクロ時このような幕切れ現象を回避するために、様々な技術がストロボ機材に採用されています。

 

ハイスピード・シンクロ(HSS)

ハイスピード・シンクロ(HSS、またはオートFPシンクロとも)は、
先幕シャッターが開く前にストロボがパルス発光を始め、後幕が閉じるまでの間パルス発光を続けます。
カメラの視点から見ると、このパルス発光の光は露光している間、定常光のように写ります。

 
図:速いシャッター速度のストロボ発光の際のタイミングと発光曲線(クリックで拡大)
graph pulse

 

HSSはたくさんエネルギーを使いますが、一般的に出力の低いスピードライト(クリップオン・ストロボ)でのみ使用可能です。シャッターは最速1/8000秒まで同調可能ですが、コンデンサの容量が少ないため、露出に影響する全体的な光量は少なくなり、灯体を被写体に近づける必要があります。

 

ハイパーシンク(HS)

ハイパーシンク(HS)は、HSSでのパルス発光ではなく通常のフラッシュ光を使います。

HSは、フラッシュの閃光時間、発光曲線とシャッター幕の動きを揃えるため正確なタイミングで動作します。そのため、HSSでの発光よりも多くの光量を得ることができ、スタジオ用大型ストロボやモノブロックのような大光量ストロボでも使用することができます。

 
図:速いシャッター速度のストロボ発光の際のタイミングと発光曲線(クリックで拡大)
graph fastshutter HS

 

ストロボとカメラの組み合わせによってシャッター速度と露光の結果も異なりますが、ほとんどの組み合わせでHSによって充分な結果が得られます。
上のグラフの場合、緑色の「Camera Sync」のタイミングで先幕が開ききりシンクロ信号が飛びますが、そのタイミングでの発光では幕切れを起こすため、HSでは先幕が開く直前のタイミングでストロボを発光させ、閃光時間を利用して画面全体に露光させます。

 

  

 

HSSでの発光は、短い時間でたくさんの発光を行うため、チューブの摩耗が激しく、光の色や閃光時間なども考慮されていません。
露出を稼ぐことはできますが、せっかくのストロボを使ったライティング効果が得にくくなります。

 

それに対しHSでの発光は、ストロボ本来の発光曲線を描くので、光の色をそのまま出すことができ、フラッシュチューブの寿命にも悪影響を与えません。
また、閃光時間が短いと露光が得られなくなるため、ブロンカラーの色温度/閃光時間管理機能「ECTC機能」によって閃光時間を短くすることはできなくなります。

 

ブロンカラー RFS2.2システム

ブロンカラーRFS2.2システムは、HS機能を搭載しているので、ストロボの光が持つ本来の色再現性を損なうことなく、高速シャッターでのシンクロ発光を使用できます。

発信機本体のTTL端子にて、カメラからシャッター速度情報を拾うことで、HS発光が必要なときにその機能を動作させて、高速シャッターに対応します。
カメラの設定にもよりますが、対応するメーカーのカメラに発信機を装着し、HSモードをオンにするだけでシャッター速度を自動判別します。
ブロンカラーは現状、カメラ内蔵露出計に応じて発光量を調整する「TTL調光」には対応していませんのでご注意ください。

 

HSモードは、シロス400L / 800L(全バージョン)、シロス800S(バージョン49.08以降)、ムーブ1200L(バージョン48.07以降)の機種でご利用になります。
バージョン確認方法、アップデートに関しては、アガイ商事までお問合せください。

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